クラシック・ギター製作家インタビュー:ロドニー・ステダル(ニュージーランド)

クラシック・ギター製作家インタビュー:ロドニー・ステダル(ニュージーランド)

今回のギター工房インタビューはニュージーランドのロドニー・ステダルさんです。

 

 

Q1. あなたの工房とその歴史についてお聞かせください。

私は常に技芸家でした。私の高校生時代にはサンダルや鞄、その他注文による様々な革細工のビジネスを営んでいました。1998年に本を参考に私の初めてのギターを製作しました。南アフリカに住んでいる時にお互いに技術や知識の共有をモットーとした南アフリカ製作家商業団体を始めました。年に一度、講習会や著名なギターリスト達が我々の楽器を使って演奏するコンサートの夕べを通じて私たちのギターを一般に公開する機会を設けました。これは私たちにとってギターの品質を向上させる大きな刺激となり、私にとって他の製作家達から指導を受ける場であったと言えます。間もなく私はスペインの伝統に基づいたコンサート用クラシックギターの製作を専門にする様になりました。今日に至るまで私のギター製作方法は主にスペイン流のままです。私のエレベーティド・フィンガーボード(傾斜指板)のギターでさえ、通常のコンサート用クラシックギターと同じソレーラ(トップの型)が使われています。現在は私はニュージーランドに住んでいて、私の工房は4年前に建てた自宅に組み込まれています。

 

Q2. あなたにとって良い音のするギターとはどのようなものですか?またそれを獲得する為にどんな工夫をしているのですか?

ギターは演奏家が奏でる音楽のムードを満足のいく様に伝達する事が出来るべきだと私は考えています。この満足感は小さな個人的なセッティング、又は大きなコンサート・ホールの聴衆に伝達されます。良いスパニッシュ・ギターの特徴である暖かい音と遠達性は、このバランスが良くとれている様に見えます。ギターは弱く演奏されたときも、強く演奏されたときと同様に良い音がしなければいけません。ほとんどのコンサートは小さな会場で開かれ、大きな場所ではマイクが使われるので、音量を増やす最近の流行は良いギターとしての資質だとは思いません。私のギターの一貫した音は試行錯誤して作られた凹面上のソレーラで製作される事によって得ています。私のギターの表面板は膠(にかわ)を使って軽く補強されています。側板は2mm厚の木材2枚がラミネート(張り合わせ)されています。ラミネート側板は頑丈で側面の強度を高め、ドーム状の表面板の振動を改善します。

 

Q3. 弾き易いギターを製作する事について考えをお聞かせください。そして、その為にどんな工夫をされていますか?

弾き易さを考えるときには右左両手を考慮しなければいけません。私の通常のネックの形状と設定はほとんどの演奏家に良く受け入れられている様です。しかし、演奏家の体格と手の大きさに合わせてカスタマイズすることもあります。もし依頼があれば顧客のお気に入りのギターのネックの形状と幅を再現するよう努力します。現在、私は指板の低音側をサウンド・ホールに向かって先細りにしています。これによって強く弾かれた時に低音弦が激しい振動してもそれに耐えることができます。右手の演奏性は異なる太さの弦を試すことで向上する事があります。また、サドルにおける弦高を最適化する事はとても重要です。反応性の良い表面場も右手の負担を軽減し、結果的に演奏性が向上します。

 

Q4. 伝統的なフレンチ・ポリッシュ(セラック・ニス)や新しい方法(ラッカー、触媒)などの仕上げの方法について、あなたの考えをお聞かせください。

私の工房には環境に優しいフレンチ・ポリッシュ以外に対応する準備が無いので、私の全てのギターはこの方法によって仕上げられます。クリア・エタノールと混ぜたスーパー・ブロンド・シェラックを好んで使用しています。私のギターは鏡面の様にピカピカに磨く前に、まず最初に軽石で目止めしてあります。 フレンチ・ポリッシュは木面に極薄のシェラックの層を塗り重ねていく方法です。若干木板の作用を遅くしてしまう新しい層を形成するスプレーによる仕上げに対して、フレンチ・ポリッシュは木に同化します。私はフレンチ・ポリッシュの自然な木目を際立たせる感じが好きです。

 

Q5. 640, 628 や 615mm などのショート・スケール・ギターに於いて、弾き易さ、設計、音質や音量の観点から、あなたの考えを聞かせて下さい。また、手の小さい人や女性ギタリストの増加によってそれらショート・スケールの需要は伸びていますか? 

私はショート・スケールのギター製作家としての名声を博しているようです。私は640・640・615と、最近完成させた550のネックと大きなボディーを組み合わせた全く新しい設計のギターを製作してきました。製作家であるという事は、顧客が望むどんな仕様にも対応する事が出来るということです。550スケール(実質1/2サイズ・ギター)の場合、標準のコンサート・ギターの様な音を得る為に胴体下部(注:ギターの2つある膨らみのうち大きい方)を標準モデルと同じくらいの大きさにしたいと思いました。この為には、普段の様に12フレット(の位置)とボディーを一致させつつ胴体上部を短くするよう、完全に設計し直さなければいけませんでした。私の640スケール・ギターは私の650スケールのギターと同様の良い音がします。630スケールまで短くしたとしても、依然として標準のボディーの形状を使用する事が出来ます。当初ブリッジを10mmサウンド・ホール側に移動させる事に懸念がありましたが、すぐにそれは音質面で問題が無い事が証明されました。

 

Q6. ギターを設計/製作する段階である特定のブランド・種類・テンションの弦を考慮していますか?

私のギターにとって常に良質で信頼のおける弦はプロ・アルテのハード・テンションEJ46です。私の演奏家の何人かは問題なくサバレス・アリアンス HT classicかCorumのハイ・テンションに切り替えました。ショート・スケールの楽器で標準の調弦をする場合は弦のテンションを高くして補正する事が重要です。ハナバッハの弦は1/2や3/4スケールに最適です。

 

Q7. ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)などの木材がますます入手困難になってきていますが、それはあなたのギター製作や完成したギターの品質にどのような影響があると思いますか?

ブラジリアン・ローズウッドを使うと素晴らしいギターを作る事が出来ると思います。恐らく、今まで私が使った事のある他の3種類の如何なるダルベルギア・ローズウッドと同じ位良質です。最近、素晴らしいギターを作る事が出来る古いマダガスカン・ローズウッドをしばらく使用していました。私の製作したコンサート・ギターの中で最も良い音のするものの一つに、在庫が限られているアフリカン・ブラックウッド(Dalbergia  melanoxolon)を使ったものがあります。私は未だに大変良質で美しいブラジリアン・ローズウッドをかなり沢山持ち合わせています。私のそれら希少な材木の在庫が減ってきた際には代替のものを探さなければいけないであろう事は承知しています。 タスマニアン・ブラックウッドとインディアン・ローズウッドが将来の私の選択肢となるでしょう。それから、ニュージーランド原産の木材を使って実験しなければいけません。

 

Q8. 21世紀に於いてギター製作というこの美しい伝統はどうあるとお考えですか?

職人によるクラフトは常に存在し続けるでしょうが、安い人件費による工場生産による商品と手工業によるものとの価格差は更に大きなものとなるでしょう。これはギター製作家たちの死活問題に圧力をかける事になり、職業製作家を志す若い職人達を目にする事があまり無くなるかも知れません。

 

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