クラシック・ギター製作家インタビュー:アントニオ・ベルナル(スペイン)

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今回のギター工房インタビューはスペイン、セビージャのアントニオ・ベルナルさんです。​

 

 

Q1. あなたの工房とその歴史についてお聞かせください。

早くからギターの世界に入り、20歳の時にセビージャに今の店を開きました。当初はギターの販売と修理だけをしていましたが、世界中の名工のギターを手にしているうちにギターに対する理解が深まり自らギターを製作する様になりました。この素晴らしい職業を学ぶ為に最高の職人達に師事しギターを製作しているうちに良い評価を頂くようになり、程なくホセ・アントニオ・ロドリゲスやダニエル・カセレス、ホルヘ・ドレスレル等のプロのギターリストや上級のアマチュア・ギターリスト達の注目を浴びる様になりました。現在はおかげさまでフラメンコ、クラシック、ポップ、ロックの数々のプロのギターリストの為にギターを製作しています。

 

Q2. あなたにとって良い音のするギターとはどのようなものですか?またそれを獲得する為にどんな工夫をしているのですか?

私にとっての最高の音は簡単です。それぞれのお客さんが求める、又は必要とする音を木に反映させて提供する事です。ギターが完成しそれをお客さんに納品した時に、頭に思い描いていた音が得られた事を確認して満足してくれた顔を見た時のその音が私には最高の音です。それはとても複雑な事です。なにせ好みは十人十色ですし、決して同じ音やタッチが必要になる事はないからです。

 

Q3. 弾き易いギターを製作する事について考えをお聞かせください。そして、その為にどんな工夫をされていますか?

20年間この職業に携わっていますが、未だに挑戦しています。とても困難な事ですが、最終的にはそれを得ることが出来ます。音と同じで、それぞれの人がそれぞれ異なる事を求めます。ある人にとって快適な事が他の人にとってはそうでないのです。私は前述した事に加えてそれぞれの顧客のタッチを調査し、閉じ角と弦長(サドルからナットまで)、指板とフレットの高さなどを調整します。人によってほぼ100%異なります。

 

Q4. 伝統的なフレンチ・ポリッシュ(セラック・ニス)や新しい方法(ラッカー、触媒)などの仕上げの方法について、あなたの考えをお聞かせください。

伝統的な塗装は決して廃る事なく使われ続けるだろうと思います。練習用ギターなどには簡単に傷む事の無い様に合成塗装を施す必要がある、と言う事は理解できます。私は注文を受ければフレンチ・ポリッシュを施します。最も良く使用するのはポリウレタン、ニトロと艶出しと艶消しフィニッシュです。最高級ギターにのみフレンチ・ポリッシュを施しますが、このクラスの顧客は一般的にポリウレタンも好まれます。

 

Q5. 640, 628 や 615mm などのショート・スケール・ギターに於いて、弾き易さ、設計、音質や音量の観点から、あなたの考えを聞かせて下さい。また、手の小さい人や女性ギタリストの増加によってそれらショート・スケールの需要は伸びていますか? 

そのようなギターを沢山製作してきました。特に日本と中国の顧客の為の640です。単に弦長を短くするだけでなく弦同士の間隔を狭めてネックを細くします。とても弾きやすくなったと喜んでくれています。650から半音分短くした様なもので、またひと味違う音色と更に深いサステインで、とても良いと思っています。結構これが好きでますますこの様なギターを作る様になりました。

 

Q6. 多くの読者がギターを色々と試奏していく内にますますどのギターが良いのか分からなくなってしまう様です。製作家の立場から、楽器店や工房でどのようにギターの音質や弾き易さをチェックしたら良いのか、アドバイスを頂けますか?

全くその通りですね。特に私は同じ価格でも沢山の異なる種類を提供していて、松、ローズウッド、又はカーリー・メイプルにドイツ松かカナディアン・レッド・シダーの表面板と、それぞれのギターは全て異なる音がするので最終的にどれにするのか決定するのが難しいです。どんなギター・材木・音色を求めているのかを常にはっきりと頭に描く事をお勧めします。そしてそれらの特徴に適合するギターだけを試奏するのです。とは言うものの、工房を訪れて、例えばイトスギと松のギターだけ試奏して同じ予算帯の他のギターを試さないのは結構辛いですが。常に誘惑がありますからね(笑)。私の工房では常に、焦らず必要なだけ時間をさいて試奏し、製作家と話をする様に勧めています。

 

 

Q7. 顧客に対してアフター・サービスはありますか? 特に、高額なギターの購入について心配している人たちも多いと思われるのですが。

もちろん私のギターには常に電話・メール・スカイプなどでの相談に応じるアフター・サービスと、完全に満足して頂ける保証が付いています。もしギターに満足して頂けない場合は他のギターとの交換に応じます。もちろん返品するギターが完全な状態である条件つきです。

 

 

Q8. ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)などの木材がますます入手困難になってきていますが、それはあなたのギター製作や完成したギターの品質にどのような影響があると思いますか?

ハカランダは沢山の国々で良く使用されていた木材ですが、禁止されてからはマダガスカル・ローズウッドやカヴィウナ(ココボロ)などの熱帯の木材がその穴を埋めています。しかし、その最上級の美しさと音色の代替になるのは不可能です。私はよくカヴィウナを使い良い結果を出していますが、正直ハカランダと同じ様にはいかない事を認めざるを得ません。確かに値段もかなり違いますが。

 

 

Q9. 21世紀に於いてギター製作というこの美しい伝統はどうあるとお考えですか?

ここアンダルシーアでは日毎に製作家が減少しています。もちろん日毎に良いギターを製作している新参の製作家達が出てきている事も確かです。将来辞めて行く製作家達の穴を彼等が埋めていってくれると良いのですが。

拝読ありがとうございます。ここセビージャより皆さんを私の工房へご招待します。

ギャラリー: 

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